10月19日(月)午前8時過ぎ
やはり立ち上がり歩こうとするのですが歩くことはできず、くたびれて休んでいる間に、
義父と義母に栃をみていてもらうようお願いし、楢の散歩に行くことにしました。
栃が寝込むようになってからは、いつ何が起こるかわからないため、
私が栃のそばにいることを最優先させてもらい、楢の散歩は主人が行ってくれていたのですが、
平日となると主人は仕事へ行かねばなりません。
月曜日はちょうど私が休みの日なので、家にいることが出来る日ですが、今、栃から離れるわけにはいかないので、この頃には、職場の人たちにもお願いして、数日は私が出勤せずに済むよう、配慮してもらっていました。
午前9時ごろ
水をシリンジで10cc飲むことができ、缶詰フォードをお湯でどろどろにして、栃に食べさせてみました。
わずかな量ではありましたが、ゴックンできました。しかし、残りはもう気力がないのか、口からあふれ出てしまう状態でした。
栃のMRI検査をお願いしていた高度医療設備の整っている医療センターの担当獣医師から電話があり、
「今日の午後11時に検査予約していただいていますが、栃くんの様子はどうですか?」と検査意思の確認がありました。
私は「実は予約を入れていただいた土曜日から段々容態が悪くなり、今朝主治医の先生に診ていただいて最終的に検査をしていただくかどうか決めることになりました。病院にはこれから行きますのでお返事を待ってください」と伝えました。

徘徊の合間におかあさんやおとうさんに抱っこされる栃。
徘徊にはショートリードを使い、危険のないようにしました。
徘徊は9時40分から約30分続き、途中、口もとがぴくぴく震える(発作時に起こる)ことがありましたが、発作にはいたらず、落ち着いたところで病院に向かいました。

病院で1時間ほどの待ち時間のあと、診察室に入りました。
栃の体重は12.5キロまで減っていました。わずか3日で2キロも減っていたのです。
栃の容態を診ていただき、この様子ではMRI検査(全身麻酔)には耐えられないだろう、とのこと。
私たち家族も同じ思いでした。
検査をしていないので確定はできないけれども、と前置きがあってから、
先生からは「病状の進行度合いが速い。これは、脳腫瘍か脳の感染症の可能性が高いです」
と言われました。
水分を自分で摂れていないため、ラクトリンゲル液を点滴してもらい、抗生物質と副腎皮質ホルモン剤を皮下注射してもらいました。
そして、自宅でも点滴をすることになり(昨日と同じ脳圧を下げる薬??)、ポンプ式点滴機をお借りすることになりました。
病院に行くのに出たついでに夕食の買い物をしたかったのですが、
栃が帰りの車中で鳴きだし、とても買い物どころではなかったので帰宅することにしました。
12時45分、帰宅すると途端に徘徊を始めました。
徘徊に疲れて落ち着いたところ、13時20分ごろから点滴を開始しました。
点滴中に、義父が昼食と夕食の買出しに行ってくれました。
作る気力がなかったので、昼食はおにぎり、夕食はお弁当を買ってきてもらいました。



点滴を始めた直後、口もとがぴくぴく動き、発作が起こるのかと心配しましたが、
発作は起こらず14時30分には点滴が終わりました。直後、立とうとしましたが自力では立てず、
そのまま一旦お昼寝体勢に・・・
昨晩寝ていない私もウトウト・・・
16時ごろ、急にムクッと起き上がり、数歩自力で歩いて義母のそばへいく栃。
落ち着いている様子だったので寝床には移さず、そのままそこで寝かせることにしました。
義母も栃が自分の傍らに移動してきたことに気づき、手をつないで寝ていました。

栃の気配が感じられるところで楢も昼寝・・・(相変わらず私の寝床を占拠!)

18時ごろ、徘徊しかけたのですが、私に電話がかかってきたため、
栃を抱っこしながら電話に出ていると、やがて落ち着いて自分の寝床で眠り始めました。
おかあさんの膝の上で・・・

さて、主人も帰宅し、交替で食事をとることに。
みんなの食事中、徘徊を始めた栃につきあうのは私。
ショートリードをつけて、歩きたい方向に歩かせました。
部屋の隅に行ってはそれ以上進めないこともしばしば。
立ち止まってかがみ込み、排尿もありました。
すぐにオムツを替えてあげようとしましたが、オムツを替えるときだけはじっとしてくれず、
食事中の主人に助けを求めました。
オムツも替えて栃も落ち着き、やれやれ・・・
やっと今度は私がご飯を食べる番になりました。
ご飯を食べるといっても、ゆっくり食べていることは出来ません。
いつ発作が起こって注射しないといけないかわからない。
食べていても気が気ではありませんでした。
そんなとき、「みよちん、来て~」と主人に呼ばれました。
20時40分、急いで栃のところへいくと、口もとがぴくぴく・・・発作の前兆でした。

よだれが出始めましたが、発作の前兆ではあるものの、発作は起こりません。
しかし、10分以上口もとの痙攣はおさまらず、よだれをたらしてしんどそうにしているので、
念のため発作止めの注射をすることにしました。
注射を打ったところ、痙攣はおさまりました。
そして、立ち上がろうとするのですが、体の自由がきかないため、キュンキュン鳴きだします。
よだれは止まらず、段々息づかいがあらくなり、苦しそうになってきました。
発作は起こっていないので様子をみるしかないと思っていましたが、
22時になっても息づかいがあらいことに変化はなく、指示をあおぐために、病院に(時間外なので携帯)電話させてもらいました。容態を伝えると、時間外だが連れて来て良い、とのこと。
実際に様子を診てみないことには処置ができないので・・・ということで、22時30分過ぎに病院に到着。
もしものことがあっては・・・と家族全員で行きました。
栃の様子を診られた院長先生が、「抗てんかん薬、ステロイド、ときて、それでもおさまらなければ次は麻酔で一時的に落ち着かせるしかありません・・・でも、覚めたらまた発作や痙攣が起きるでしょう。対症療法でしかなく、根本的な原因がつきとめられずその原因が取り除けないために、治療といっても常に後手後手になってしまうのです。」と言われました。ひとまず痙攣止めの麻酔薬を注射してもらい、他にも2本注射をしてもらいましたが、栃の体温をはかってもらうと、41度1分。
「熱射病の症状ですね・・・もう自分で呼吸がうまくできなくなっているのです。そのために熱が外に発散できず息づかいがあらいままなのです。」
その言葉を聞いて、私は決心がつきました。
家族の中にも色々な思いがめぐっただろうと思いますが、
栃が栃でいられないのなら、家族会議で決めたように、安楽死を選択するときが来たのでしょう。
「出来れば自宅で最期を迎えさせてやりたいのです」とお願いしました。
診療時間外でもあり、昼も夜も食事の取れない状態での勤務が続き、常にお忙しい先生方にとって、
我が家の申し出はご迷惑であっただろうと思います。
「お宅まで伺うことが時間的に難しいので、家族全員でお家で看取られるなら、なんとかご家族でお願いしたい」とのことで、点滴麻酔キットをお借りして帰ることになりました。
1秒間に3滴落ちるくらいのスピードだと栃くんに負担がかかりません、とご指導いただきました。
「処置をするタイミングはどうはかればいいでしょう?」
不安がる私を見て主人が聞いてくれました。
「今の麻酔薬が効いている間なら栃くんも楽に眠りにつけると思います。本当なら今打った麻酔薬は一時的なものなので、打って数分で目覚めることが多いんです。でも栃くんは、まだスヤスヤしていますよね・・・ちょうどいいタイミングかもしれません」
病院をあとにしてからも、私は不安でした。
自宅で、家族全員に見守られながら栃を送り出すことは、家族全員が望んだことでした。
しかし、その処置を、私がやっても大丈夫なのだろうか???
2日前に、夜間診療の時間外でお世話になった先生を頼って、ダメもとだと思いながら、立ち寄りました。
先生は急患の対応をされていたので、看護士さんに、2日前にお世話になったお礼と、これから家で栃を安楽死させることになったことを伝えました。
冷静に、丁寧に話を聞いてくださった看護士さんは、帰りかける私を呼びとめ、
「栃ちゃんを入れる箱か何かは用意されてますか?」と聞いてくださった。
「霊園にはベッドに入れて運ぼうかと考えているのですが・・・」と答えると、
「霊園の名前の入った箱がありますから、それなら棺にもなりますし、よかったら持って帰られませんか?」とのこと。霊園の名前といっても・・・いろんな霊園があるだろうに・・・と思いつつ、
栃の先輩犬がお世話になったという霊園の名前を告げると、
「その霊園のものならあります」と、栃の体の大きさに合う箱を出してくださいました。
何度も何度もお礼を言って、一時的な麻酔薬で落ち着いている栃とともに帰宅しました。
日付が変わり、10月20日(火)午前0時過ぎに帰宅。
栃を寝床に寝かせ、家族全員がお手洗いに行ったり、のどの渇きを潤したりして心の準備をし、
栃のそばに集まりました。
楢は何かを察したのか、2階から下りてきませんでした。
痙攣止めの麻酔薬で落ち着いている栃。

栃を囲んで、思い出話を語り合いました。
あんなときこうだったよね、こんなときこうだったよね、と。
10分か15分ほど思い出話に花が咲いたでしょうか。
そろそろ・・・ということになり、
0時40分、私が、点滴針を入れました。
最後は、栃が大好きだったおかあさんに抱っこしてもらうことにしました。
義母も決意できるまで、どれだけ悩み苦しんだことでしょう。
「おかあさんより先に逝ったらアカンやんか・・・」と言いながらも
取り乱すことはなく、ずっと栃を抱いていてくれました。
聴診器で栃の心音を聞いていると、最初は普通に動いていましたが、
時間の経過とともに、心音は緩やかになり、0時55分、点滴は終了。
小さい、小さい心音が確認できましたが、その後しばらくして、栃の心音は完全にとまりました。
栃、永眠。
享年13歳11ヶ月。
安らかに、本当に安らかに、旅立ちました。