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栃楢日記

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福島を想う

 被災地視察ツアー(福島~宮城弾丸ツアーとも言うらしい)を終えて、まだまだ頭がいっぱいの私。
考えないといけないこと、考えたいことがたくさんありすぎて・・・でも、見てきたこと、学んできたことは多くの人に伝えていきたい、そんな思いでいっぱいです。

 昨日、帰宅してメールチェックしたら、福島県の行政獣医さんからメールが届いていました。ご自身の御名刺を切らしておられたことのお詫びと福島訪問のお礼の言葉が綴られていました。そして、これからも被災ペットの救護に頑張っていくという力強いお言葉。

 メールを読んで、気がついたら、泣いてしまっていました。

メールが届いた時間を見て・・・先生は、ちゃんと休憩できたのだろうか、私へのメールが先生の昼食時間を削ったりしなかっただろうか・・・


 先生は、まだ先の見えない避難生活をされている(警戒区域に自宅のある)飼い主さんたちに、被災した犬猫たちのストレスの軽減を考慮した上で、気持ちの整理が出来れば所有権を放棄することをうながされています。この仕事がどれほど大変なことか。飼い主さんの心の支えであるはずの動物たちを、飼い主さんたちご自身が守ってあげられない以上、新たな家族に迎えていただくという選択肢も必要になってきます。
しかし、家族同様の犬猫たちを簡単に手放したくない、自宅に帰ることが出来たらまた一緒に暮らしたい、そう思う飼い主さんたちの気持ちも痛いほどわかります。ですが、いつ自宅に帰ることが出来るかまったくわからない状態で、ずっと飼い主さんたちと離れて暮らす動物たちのストレスといったら、どれほど大きいことでしょう。

 人間は、「あと何ヵ月?」「あと何年?」「いつかはわからないけど、いつか必ず」と、未来について希望を持つことが出来ますが、犬猫たちはその瞬間瞬間を生きる動物です。人間のように過去を振り返ったり、未来を想い描くことは出来ません。「今」を生きているのです。

 その「今」を出来る限り苦痛なく、幸せな状態で過ごさせてあげたい。

 きっと、そんな思いで、先生は飼い主さんたちと向き合っておられるのだと思います。



 そんな先生のお人柄を思い出し、つらい思いをされた日々のお話を振り返ると・・・
私は夕食のときまで、主人相手に福島の話をし、泣いてしまうのでした。



 今回のツアーを企画してくださったNPO法人の副理事長の先生がおっしゃっていたことも、頭によみがえってきました。

 「時間がなくて、ゆっくり見て回れなかったと思いますが・・・
 もっと見たいと思われた方は、是非、また足を運んでください」と。


 知人が被災地に旅行に行ったと聞いても、ピンとこなかったのです。
東日本大震災の被害とは無縁の地域に住んでいる私が、まだ避難生活を余儀なくされている方たちが暮らしておられる、まさにその地域で、美味しいものを食べて、あそんで・・・なんて、本当にそんなこと出来るんだろうか、と。でも、今回のツアーに参加して、福島に行って、福島で「食べる」「泊まる」「楽しむ」ことも、復興支援になるんだな、と自分で行ってみて実感できました。

 

 またいつ行けるかはわからないけれど、またいつか福島に行きたい。

 そう思わせてくださった、先生からのメールに感謝します。
by tochinara | 2012-03-09 22:16 | 動物福祉